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花火のつぎに終わるのは③
「こっちの方が遠回りやから人少ないねん。歩ける?下駄痛かったら近い方いくけど」
「ううん、大丈夫。多分」「無理すんなよ。とりあえずそこのコンビニ入ってジュース買お。お菓子も欲しかったら好きなの選んでええで。バイト代入ったとこやから豪勢にどーぞ」公園前のローソンで、コーラとジンジャーエールを買った。とはいえ、結局ふたりとも他にはなにも買わなかった。店を出るなり、雄大は一気に3分の1ほどコーラを飲み干した。余程喉が渇いていたのだろう、なんだかおかしくって、少し緊張が解れる。私も真似をして、ジンジャーエールをぐっと傾けた。「それ、貸してみ」雄大は私のジンジャーエールをぱっと奪い去って、スキットルから液体を注いだ。「ほい、飲んでええで」再び開けたての量を取り戻したジンジャーエールが手元に返ってくる。そして雄大は、自分のコーラにも同じように液体を注いで、そのまままたぐいっと飲み込んだ。目の前で見ている限り、とりあえず危ないものではなさそうだ。「......いただきます」恐る恐る口に含むと、ジンジャーエールの味のあとにそっけない苦味とウッディな薫りが鼻を抜けた。ウイスキーだ。それも、かなり度数の高いやつ。「はじめて?」雄大が優しい目で問いかける。「いや、......じつは、何度か」「よかった。そっちちょっとちょうだい」「あ、ちょ......」「代わりに、俺の。どーぞ」ジンジャーエール割りのペットボトルが、返事をするより前に手元から消え、代わりにコーラのペットボトルが出現した。なんのためらいもなく口をつける雄大に、慌てて私もコーラ割りを口にする。間接キス、じゃん......なんて気にしているのは私の方だけで。同じシャーペンを使うのも恥ずかしがっていたあの頃の雄大はもういないんだ、って思い知らされたようで少し悔しくなったから、もう一口飲んでやった。味もへったくれもないコーク・ハイ、多分トラウマになって一生飲めないやつだ。「いこ」雄大は私の手を取り、先を歩きだした。ジュースのせいでひんやりした手のひらが、2年前より大きく、やわらかくなっている。時々酒を飲みながら、人気のない路地を縫うように進んでいく雄大。その半歩後ろを手を引かれながらついていくだけの私。2年前とはまるで大違いで、なんだか気持ちが悪い。 -
表情
はじめてお会いする方には、「意外によく笑うんだね!」ってよく言われます。
思えばパネルが1枚もちゃんとわらってない!!!って気づいて中華街での1枚を追加しました笑
この顔立ちと髪型で結構クールに見えてるみたい、、、
事務的な微笑みじゃなくてほんとに楽しくて笑ってます笑
それくらいお兄様たちと一緒にいる時間が大好きです。
女の子はやっぱり笑ってる顔が一番素敵ですよね、きっと
病み期みたいなのからもみなさんが真剣にお話聞いてくれたり心配してDMくれたりしたおかげで回復したし、今日からまたリスタートしたいと思います。
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空色のベース
昨日学校帰りに寄った楽器屋
もうすぐ閉めるってセールするらしい興味もないのに入ってみた楽器って意外と高いんだなあピックだけでお弁当が買えちゃうチューナー?メトロノーム?それなんだっけ音楽の授業で習った気がする「一見さん?珍しいね」なんて店主のおじいちゃんが声をかけてきた慌てて出ていこうとしたけれどなぜ?なぜ?脚が動かない弦に鍵盤に フィンガーボードに見つめられて離せない「君にはそうだな、これが似合うよ」なんて勝手にギターを押し付けてきたいや弦が4本?これはベースか私が地味って 言いたいのか?「どっしり構えた重低音で主旋律を支えるのさ他の楽器が どれだけいても音を重ねるほどにメロディは薄っぺらくなっていくベースがいないとバンドは成り立たない縁の下の力持ち そういうのに憧れてたんだろう」「今なら閉店しても私がたまにそのベースの面倒見てあげるよそれは私が使っていたものなんだ新しく楽器を始める君に ぜひ可愛がってもらいたい」「本体・ケース・ストラップ・ピック・ヘッドフォンアンプ・チューナー・指南本もつけて2万でいいよ」の最終文句で最強装備のベースを買ったの財布の中に1万7000円しかなくて3000円おまけしてもらった「私が改造してるから私が死ぬまでここに持ってきな私が死ぬ頃には自分で整備できるようになってる」「長生きしてね」、って言って制鞄とベースを担いで帰ってきたママには叱られちゃったけど楽器店以来のご対面空色がかわいい初ベース帰宅部、学年席次66位、スポーツ歴なし音楽歴2分あーあ、余計勉強しなくなっちゃうな -
知らなくてもいいことをひとつ残らず知りたい
出勤してます😊
一瞬ユニゾンに浮気したけどやっぱり一番好きなバンドはハンブレッダーズ
武道館で私が一番好きなのにライブでは音源確保が難しい都合でできないって言ってたAI LOVE YOU演ったって聞いて発狂してる
邦ロックが好きなんだろうなとは自覚してるんだけどなにぶん食わず嫌いで王道のグループに手を出せないでいます……
ロック好き名乗るならこれ聴いていたほうがいい!ってオススメあったら教えてほしいです🥺和洋どっちも挑戦したいです
過去にバンドやってたとか今も楽器趣味でやってるっていうお兄様ともたまに出会えたりするからこの縁が楽しいです。
普段はねじれの座標にいるような存在で交わることないので……
きょうも夜までいますので、よろしくお願いします -
花火のつぎに終わるのは②
「......え」
「俺やん、俺。分かんない?中3とき付き合っとった川代雄大」「ああ、雄大じゃん!なに、丸坊主やめたの?変わりすぎてて分かんなかったよ」無造作風にセットされた赤っぽい茶髪、片耳のピアス、極端な薄着にいかついネックレス。準硬式野球部でショートを守っていたかつての真面目なちびっちゃいくそ坊主の面影はもはやどこにもなかった。焼けた肌と鼻につく関西弁を除いては。私は彼と中学3年の6月から11月まで付き合っていたけれど、受験を理由に自然消滅した。手も繋げないまま終わったその5か月間は、上書きを繰り返す自分の記憶の中でもはや無き物と化していたので、彼の強気な口調に懐かしさこそ覚えたものの、いまひとつ感動は得られなかった。「浴衣、ええやん。やっぱ凛は白やな。やー、花火きれかったけど人混みすごくてやってられんわ。連れともはぐれてもたと思ったら何や女と抜けるとか言いよるし、一人残されて暇やねん。凛は誰か友達と来たん?」「や、一人。なんとなく花火見てみたくなってさ。やっぱ夏って花火見なきゃじゃん?」「はぁ!?凛が!?俺がどんだけ盆踊りの日の花火誘っても絶対首縦に振らんかったあの凛が!?一人で!?......いやー、人は変わるなぁ」「や、あんたに言われたくないから。なにそのピアス?なにその髪型?なにも言われないわけ?全然似合わない」「んー、反動、的な?」「反動?よくわかんないけど、それじゃ試合出させてくんなくない?前ちらっと聞いたけどさ、拓翔高校甲子園まであと2勝とかだったらしいじゃん。来年まで頑張ろう的な時期じゃないの?こんなところでなにして......」「............俺な、野球やめてん。どのみち怪我もしとったし、もう限界かなって。向いてへんねん。俺。野球ってか、団体競技無理やわ。......チームワークとか、できやんねん」「......野球で高校行ったのに野球やめるって、大丈夫なの?1年のうちは試合も出られないの当たり前だし、もう少し我慢してみてよかったんじゃ......」「もうええねん。もうちょっとだけ、もうちょっとだけって耐えて耐えて、軟式と準硬入れたらもう10年野球やってる。それで分かった、あいつらと俺は、ちゃう。根本的に............それに、俺は成績もまあまあよかったから学校には残留できる。そら元メンも先輩もおるから肩身は狭いけど、何とかやってる。未練はないわ」「でも、あんなに......」「せや、どうせお互いひとりやったらさ、なんか食べながら駅まで歩こや。エエもん持っとるから分けたる、な?久しぶりにデートごっこもええやろ?」“あんなに、野球好きだったくせに。”そう言おうとしているのが分かっていて、明らかに聞いてほしくなさそうなタイミングで遮った。顔を上げると、雄大は少し困ったような、寂しそうな顔で笑っていた。なんだか悪いことをしてしまったようだ。少し気まずくなって、数秒の沈黙が流れる。駅の方面へ流れていく人々の姿が背景となって、異様にゆっくりに見えた。「......いいよ。奢りね」温くなったサイダーをゴミ箱に捨て、雄大の肩をポンと叩いた。 -
おはよう
12時から21時までお待ちしてます😊
10月また少しシフト追加してるのでご確認ください😊 -
ふふ⚔️
ひさしぶりにシーブリーズなんか買った -
花火のつぎに終わるのは①
打ち上げ花火の最後の一発が、寂しげな余韻を残して柔らかく響いた。
割れんばかりの拍手と引き返す人々の雑踏。再び賑わい始めるりんご飴屋の夜店。「凛?」突如背後から声がして、肩に手が触れた。驚いて振り返った拍子に、ペットボトルのサイダーが揺れた。.花火なんか見たのは久しぶりだった。小学生の頃、地元のショボい花火大会にいったときは、指の間の酷い靴擦れの痛みに花火どころではなかった。また、ちょうど小学生の感性では、いい気になって花火なんて見たところで、もはやなんの魅力も感じ取れないのだ。浴衣は暑いし、足は痛いし、籤引きの景品は邪魔だし、早く帰ってポケモンのパールをやりこみたかった。あれから5年。私は少し大人になって、花火大会のチラシにふと足を止めるくらいには余裕ができた。ゲームもすっかりやらなくなって、友達も彼氏もいなくなっていた。「お母さん、10日の花火ってうちから見える?」「そんなの見えないわよ。屋上でも開けてもらえたら別でしょうけど、うちのマンションからじゃせいぜい盆踊りの日に上がる花火くらいしか......」「そ、わかった」「あんた、もしかしてわざわざ見に行く気?花火は飽きたって毎年言ってたじゃない。何?誰かと一緒に行くの?」「んー、行こうか迷ってる。一人だよ。誰も誘わないつもり」「寂しい女ねぇ。それならお金は渡すから、出店で晩御飯食べてきてちょうだいね。お母さん夜仕事だから、お父さんにも外で食べてきてもらうわ」「わかった」一人で浴衣を着込んで、電車で都心から離れた大きな川の堤防までやってきた。早く着きすぎたつもりだったけれど、既にそこには場所取りのシートが隙間なく敷き詰められており、あぶれた人達がそのすぐ後ろで列をなして待っている。「あ、たこやき」適当に目に留まった夜店で腹ごしらえをして、自販機でサイダーを買った。本当は麦茶が飲みたかったのだけれど、既に売り切れで買えなかった。一人は気楽でいい。最悪花火が見られなくても、こうして祭りの空気を味わえるだけで十二分に価値があるというものだ。むしろ他人に振り回されて気を使って回る祭りこそ時間の無駄だ。夏はそんなに長くない。祭りは一夜で終わってしまう。そんな貴重な時間を、他人に割くだなんて馬鹿馬鹿しい。神社の石段でフランクフルトを頬張っていると、遠くから余興の舞台を任せられたゲストの若手芸人がコントを見せている声がした。私には一言たりとも琴線に触れなかったが、会場は盛り上がっているようだ。ゴミ箱にトレイを捨てたちょうどその時、花火の打ち上げ10分前を知らせるアナウンスが流れた。 -
明後日追加します!
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十五才から十八歳 短くないはずの時間
思春期と呼ぶにはちょっと遅い期間クラスのみんなにはあったもの、僕ひとりだけ選ばれなかった者春の空 晴れた永遠黒板の寄せ書きに ひとりチョークが渡されなくて最後の日にも登校から下校まで ついに一言も発さなかったなにかの間違いではないかと一桁ずつ 一本指打法で何度も読み込んで 何度も何度も読み込んで飾り気のない真っ白な背景に、「ごめんなさい」と繰り返すしかなかった散った桜をアテに呑むストロングゼロは大人たちが言うほど美味しくはなかった法が僕を大人と呼んでも子どものままでありたい 拒否権をくれよ八十年の人生は何かを為すには短すぎるくせに何も為さないには長すぎる生涯現役と逃げ場を絶たれて与えられざる者として赤い本に青い本 グチャグチャに焚べても見分けがつく自信があるくらい透ける下敷き 小さいカード何度も床を共にしたいびつな形の三角形昔から数学は苦手だったよきっと一生使わない蛍光ペン筆箱の中整理しちゃったりなんかしてもうさよならなんだな2Bのシャーペン だいぶガタがきてしまってる買い替えることもないんだよなもうボールペンしか使わないんだよな「成長」が「老い」に化ける瞬間拝啓、
頑張ってるときは頑張りたくないと思ってるのに
頑張らなくてよくなってしまったら、なにか大事なものを取り上げられた気がしてしまうな
生憎、皮肉なことに、望みもしないのに、僕はすこぶる元気です
3年の努力が、18年の望みが、たった1クリックで全てなかったことになってしまっても
涙すら出ないくらい元気なんです
このまま遠い国に、誰も知らない場所に、この43821番の試験結果とハネムーンしたいくらい元気なんです
あーあ、母さんになんて言えばいいんだろうな
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